基準が緩くなったという理解ではないんですね?
目標は同じなんですよね。
それでは6.9%以内というHbA1cの値を保てば、合併症の心配はほぼないと考えてよろしいのでしょうか?
実際には網膜症や腎症といった細かい血管の病気、こういった糖尿病の細小合併症は、HbA1c6.9%未満で抑えられると考えられていますが、しかしながら心筋梗塞などの大血管障害は、これだけでは十分に抑えられないという事が分かってきています。
もっと考えなければいけない点があるという事ですね。
具体的にはどういう事が示されているんでしょうか?
まずこちらご説明下さい。
最近の臨床研究から分かってきた事をご説明します。
その一つがUKPDSと呼ばれるイギリスで行われた臨床研究です。
糖尿病になったばかりの方を対象に致しました。
そしてこういった方々を食事療法が中心のAグループ。
それから最初から積極的に治療を行って頂くBグループという、2つに分けて治療を行ってきました。
グループ分けが行われましたね。
AグループではHbA1cが7.9%程度にコントロールできました。
一方積極的に治療したBグループでは7.0%程度までコントロールできました。
先ほどの6.9により近い値になっていますね。
そしてこういった治療を行って10年間の経過を見てみました。
10年後いい治療を行ったBグループでは、網膜症や腎症といった細かい血管の合併症は、抑える事ができると証明されました。
そうだろうという結果ですよね。
ところが、心筋梗塞といった動脈硬化症は残念ながらA群とB群では、有意な差は出なかったという結果になってしまいました。
こちらもBの方がよかったという事ではなかったという…。
そうなってほしいんですがそうではなかったんですね。
ところが更にAグループBグループを、10年間経過観察した研究成果が最近出てまいりました。
その結果ですね。
最初の試験終了時に治療方向がほぼ同じになってまいりました。
そしてHbA1cの値もほぼ同等になってきましたが、しかし終了後10年後の結果を見てまいりますと、網膜症・腎症は最初と同じようにB群で抑制できましたが、更に心筋梗塞はB群で抑えられるという結果が出ました。
従って長期的な経過を見ていきますと、確かにその効果が大血管障害でも出てくる事が分かってきました。
長期間の結果どういう事…?
糖尿病になったばかりの方に対して治療を行った事で、最初の厳格な血糖管理が長く続く遺産効果という言葉で、この成果が呼ばれております。
この結果は何を指し示していますか?
糖尿病に関しては早期から治療を開始する事。
そして積極的に治療を行っていく事の重要性が、示されたのではないかと考えております。