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認知症で盗まれたと妄想

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大阪市のデイサービスセンターです。
週に2回ここに通う…
市内で独り暮らしをしています。
5年前に認知症と診断されました。
実は介護スタッフたちは瀧本さんが抱える
ある症状に悩まされています。
スタッフの中で最も信頼されていた月野さんが
お金を返すよう責められています。
帰るのは分かってるけど…
違いますか?
こうしたやり取りが30分以上もう半年も続いています。
つらいっていう感情僕は正直ないけれども
「また言いに来られた」っていうのは多少はありますけどね。
瀧本さんの…ちょっとどうにかしてあげる事は
できないかなっていうのはありますけれどもね。
瀧本さんのもの盗られ妄想は自宅に帰ってからも続き
ケアマネージャーが電話対応に追われます。
お金借りなくても生活できるように
ちゃんとしてるんだけどあれかな何か困ってるんかな?
電話は多い時で一日60回以上。丁寧に説明しても
かえってもの盗られ妄想が激しくなるばかりです。
そこで月野さんは専門家に相談する事にしました。
相談に応じた沖田裕子さんは
「もの盗られ妄想の背景には瀧本さんの
不安が隠れているのでは?」と指摘しました。
(沖田)不安っていうものにどれだけきちんとアクセスできて
その事が信頼になっていくんやと思うのね。
ご本人との信頼になっていくんやと思うんで…
そこで瀧本さんの行動や言葉から不安の理由を探りました。
まずは電話をかけてくる曜日や時間帯の分析です。
電話の回数とか傾向はどうですか?
こちらにかかってくる感じは…。
すると介護サービスが少ない日曜日や
ヘルパーが帰ったあとの時間帯に多い事が分かりました。
不安の背景には孤独感があったのです。
早速瀧本さんが1人きりになる時間帯に
ケアマネージャーが訪問する事を決めました。
更にもう一つ瀧本さんのある言葉が
浮かび上がってきました。
言うてます。ですよね?
仕事をしたいという瀧本さんの言葉
それはいつまでも自分の役割を持ち続けたい思いではないかと
考えました。
そこでデイサービスでは
瀧本さんにある作業をお願いするようにしました。
使い古しのネクタイを一枚の布に戻すリサイクル。
これねほどくん。
結構固いん。
かつてよく裁縫をしていたという瀧本さん。
邪魔くさかったらここの所一遍ね切る訳。
慣れた手つきでネクタイをほどきます。
でしょ?ここ開くでしょ?すごい!すご~い!
すご~い!ね?年の功よ。
何で~?さすがやな~。そうよ。
またもしあれだったら暇潰しに
家でもできるかなと思ったんやけど。
家に持って帰るの?うん。それはしてあげるよ。
してくれる?うん。助かるわ~。
こうした対応を続けた事で
瀧本さんのもの盗られ妄想は徐々に治まっていったのです。
へえ~どうですか?心なしか表情も少し
柔らかな感じにね。落ち着いてこられたようですね。