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分子標的治療薬を使う基準は遺伝子の異常があるかどうか

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冒頭のBさんCさんに戻りたいんですけれども、お二方とも非小細胞がんの腺がんというタイプのがんでしたが、似たようながんだと思いますが使っていた薬が違っていますね。
この差は何なんでしょうか?
この分子標的治療薬が使えるタイプかどうかという事で、治療法が変わってきました。
分子標的治療薬を使う基準として、遺伝子の異常があるかどうかに我々注目しています。
ここに挙げたのはEGFR上皮成長因子受容体といいます。
正常がこういうパターンだとすると異常があるというのは1つは、左から4番目のところのTとAが入れ代わっています。
上がAだったのが下にAがいく入れ代わっているタイプと、抜け落ちるタイプ。
こういうのを遺伝子変異と呼んでいますが、このタイプの人に効きやすいお薬、ゲフィチニブという薬が今から10年前に商品化されましたけれども、この薬が出てきて治療方法が変わってきました。
これが分子標的治療薬と呼ばれているものですよね。
その一つですね。
こうした遺伝子の変異があるかないかは、治療前に調べるという事になる訳ですね。
そうです。
がんかどうかを調べる時に我々細胞の塊組織を採るのですが、その組織細胞からこれらの遺伝子の異常を調べる事が、今は技術的に可能になりましたので、病院に行かれたらこの結果がどうかという事も、一緒に合わせて聞かれる事ができると思います。
分子標的治療薬はゲフィチニブ以外にもあるんでしょうか?
あります。
治療が開発されるとともにいろんな薬が出てきたのですが、ゲフィチニブと似たような薬でエルロチニブという薬もありますし、今年の6月から使えるようになった薬で、クリゾチニブという薬も出てまいりました。
これらは単剤1種類で使われる薬です。
これらは遺伝子のレベルでターゲットが違ってくるのでしょうか?
ゲフィチニブやエルロチニブは先ほどご紹介した、EGFR遺伝子変異がある方に使われます。
クリゾチニブはEGFRではなくEML4ーALKちょっと難しいのですけれども、融合遺伝子という遺伝子異常がある方に使われる薬として、商品化されています。
どれぐらいの人にこうした遺伝子の変異があるのでしょう?
こちらのEGFR遺伝子変異がある人は肺がんの25~30%。
腺がんでは50%ぐらいの人にあるといわれていますし、こちらは肺がん全体からいうと2~3%。
腺がんの中では4~5%の方にあるといわれています。
まだほかにも分子標的治療薬がございますか?
大腸がんでも使われている薬でベバシズマブという薬があります。
この薬はがん細胞が周りから栄養をとるのに、血管を引き込むように血管を作っていくのですけれども、VEGFという異常たんぱくを標的とした薬として、開発されています。
この薬は単剤ではなくて、ほかの抗がん剤と組み合わせて使っていきます。